レコーディングでは、いつも誰かが泣いていた

Perfumeから2009年第1弾のシングル『ワンルーム・ディスコ』が到着! 期待と不安が入り混じる“春、新生活”をテーマにしたリリックには、「自分たちが上京してきたときと重なりますね」(かしゆか)と彼女たちも強く共感しているという。

「東京に来ることで、もっともっと夢が広がるって思っていましたね。故郷を離れるのは少し寂しかったけど、たくさん活動ができる喜びのほうが大きかったです」(のっち)

 上京した年の夏(2003年8月)には、中田ヤスタカcapsule)のプロデュースによる最初のシングル『スウィートドーナッツ』をリリース。テクノポップ・ユニットとして再スタートするという、大きなターニングポイントを迎える。

「中田さんの最初の印象は……怖かったです(笑)。すっごい姿勢がよくて、異常に感情を出さないしゃべり方で」(あ〜ちゃん

「“突き放すように、もっとさりげなく歌って”って言われたんですけど、何のことかよくわからなかったし」(かしゆか

「レコーディングのときは、いつも誰かが泣いてたよね」(のっち)

「自分たちがガケっぷちだってことはわかっていた」(あ〜ちゃん
 さらに2005年9月、『リニアモーターガール』でメジャーデビューを果たしたときには、こんなきびしい出来事が…。

「レコード会社のえらい人にあいさつにいったら、“先はどうなるかわからないから、それぞれ今後のことを考えておいて”みたいなことを言われたんですよ!」(あ〜ちゃん

「“いい思い出になると思うよ”とか! 帰り道、3人ですごく怒っていました」(のっち)

「そうそう。“私たちはすべてをPerfumeにかけてきたのに!”って」(かしゆか

「自分たちがガケっぷちだってことはわかっていたけど、そんな言い方はないですよね……。でも、あのきびしい言葉があったから、ここまでがんばれたのかも。ってことにしておいてください(笑)」(あ〜ちゃん

 その後の人気ぶりは、ご存じのとおり。

「(木村)カエラさんがラジオで『チョコレイト・ディスコ』(『ファン・サーヴィス[sweet](限定盤)』『GAME』収録)をかけてくれて。カエラさんが好きでいてくれることがわかって、私たちもPerfumeに自信を持てた」(のっち)

新宿LOFTでライブをやったことも大きかった。ふだんはロックバンドの人たちが出ている場所で。“かっこいい!”って言ってもらえて、“こっちの方向に行きたい”って思いました」(あ〜ちゃん

 などなど、さまざまなタイミングを経て、Perfumeは一気に2000年代を象徴するアーティストへと駆け上っていった。

「でも、何がターニングポイントだったのかはわからないんですよね。“生死をさまよって、戻ってきた”みたいなことがあったわけではなく(笑)、少しずつ進んできた感じなので」(かしゆか

「上京する前から、目の前の目標に向かってがんばってきて。それはいまも変わっていないかもしれないですね」(あ〜ちゃん

 5月9日、10日には、代々木第一体育館2DAYライブ「ディスコ!ディスコ!ディスコ!」を敢行。Perfumeのターニングポイントはこれからも、どんどん更新されていくことになりそうだ。